本校生徒諸君へ

一芸は万芸に通ず

校長 大木 直人

 

 『一芸は万芸に通ず』(世阿弥「花伝書」)という格言を聞いたことがあるでしょうか。これは,1つのことを極めると,そこでつかんだ根本的なことは,あらゆることに役立つということです。何か非常に力を入れたことがあって,そこで何か根本的なことをつかんでいる人が成功しているようです。つまり,勉強でもスポーツでも趣味でも,とことん打ち込み,その道を極めるくらいになっていると,その人は仕事においても一角の人になっているということです。すなわち「ひとつの事を極めていくと,他の事柄にも通じる精神を理解できるようになる」ということですが,現代にも十分通じる話だと思います。

 ひとつの事を極めることができる能力(忍耐力や努力,習得力など)を持っていれば,それを極めたときの方法や能力を他の事にも応用できるということです。良く,あの人は,一つのことしかできないなどと言って悪口をいう人がいますが,多くの人は,ひとつのことさえ満足にできない場合が多いわけです。何か一つでも他の人々より秀でていることがあるというのは素晴らしいことです。

 私が接してきた人の中には,呑み込み(理解)が早く,それなりに物事を次々とこなしてしまうのですが,深みが感じられない器用貧乏になってしまっているような方がいました。むしろ,不器用で馬鹿正直で愚直な人がスペシャリストとして成功している場合が多いような感じがします。要領の良さというのは,物事を突き詰めて本物を追求するのにはマイナスに作用するような時もあるようです。物事を極めることは簡単ではなく,大きな目標と意欲を持って時間と回数をかけなければ本物にならないと思います。

さて,生徒の皆さんの学校生活に置き換えてみたいと思います。まず,数字は嘘をつかないということを実感して欲しいと思います。努力する回数や時間を,一ケタ増やすと,どうなるか試してみて下さい。今までテスト勉強を10時間しかやっていない人は100時間,1回見直すところを10回やってみて下さい。部活動や農業クラブ活動において大会に向けての準備を,10日前からしていた人は100日前からやってみて下さい。結果が数字で必ず出てくると思います。何事にも意欲を持って,自分の限界を決めつけないで挑戦してみて下さい。

また,進路決定に向けて,自分が夢中になれるのは何か,頑張り続けられるものは何か,得意技は何かなどを冷静に見極めながら高校生活に取り組んで欲しいと思います。将来,社会人となったら,どんな単純な仕事でも雑用でも,任された事に対して真剣に取り組み,“今日よりも明日”という少しずつでも成長したいという謙虚な姿勢を忘れず,毎日を積み重ね,その職場その仕事のスペシャリストになって下さい。

坂東総合高校は,生徒の多く可能性を引き出す機会を設けています。是非,何か一つ身に付けて,自信を持って卒業し,立派な社会人になることを心から祈っています。

 
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